唾液腺のはたらき

■ 唾液腺とは何か

唾液腺は唾液を分泌する外分泌腺であり、口腔内での消化・潤滑・防御に重要な役割を担う。 主に耳下腺・顎下腺・舌下腺の三大唾液腺と、小唾液腺から構成される。


■ 唾液腺の主な役割

① 消化の開始(化学的消化)

  • 唾液中のアミラーゼによりデンプンを分解
  • 初期消化を担う

② 潤滑作用

  • 食物を湿らせ、食塊形成を助ける
  • 嚥下を円滑にする

③ 口腔内の保護・防御

  • 抗菌作用(リゾチーム・IgAなど)
  • 細菌の増殖抑制

④ 口腔環境の維持

  • pHの緩衝作用(酸の中和)
  • 歯の再石灰化を促進

⑤ 味覚の補助

  • 味物質を溶解し、味覚受容を促進

■ 唾液腺の種類と特徴

  • 耳下腺:漿液性、アミラーゼが豊富
  • 顎下腺:漿液+粘液性、分泌量が多い
  • 舌下腺:粘液性、潤滑作用が強い

■ 唾液分泌の調節

  • 副交感神経:分泌促進(さらさらした唾液)
  • 交感神経:粘稠な唾液分泌
  • 食物刺激・嗅覚・精神状態によって変化

■ 唾液腺と臓器の関係

  • 口腔:消化・防御の場
  • 神経系自律神経による制御
  • 消化管:消化の連続性

■ 臨床的ポイント

  • 口腔乾燥(ドライマウス):分泌低下
  • 唾石症:唾液の流出障害
  • 耳下腺炎(流行性耳下腺炎など)
  • ストレスによる分泌異常

■ 東洋医学的観点

唾液は「津液」の一部として捉えられ、全身の水分代謝と深く関係する。

  • :水湿の運化 → 津液生成の基盤
  • :津液を全身に散布 → 口腔の潤い
  • :水の根本 → 慢性的な乾燥と関連
  • :津液の源 → 食事と唾液分泌の関係

■ 主な病理パターン

  • 陰虚:口渇・乾燥・唾液減少
  • 脾虚:津液生成不足
  • 胃熱:口渇・口臭・口内炎
  • 気滞:ストレスによる分泌異常

■ 鍼灸との関連

  • ドライマウスに対して津液を補う治療(腎・脾・肺)
  • 唾液分泌促進のための自律神経調整
  • 口腔炎症に対して清熱・瀉火
  • ストレス関連症状に対する肝気調整

■ 代表的な経穴

  • 翳風:耳下腺周囲、分泌促進
  • 頬車:顎周囲の機能改善
  • 承漿口腔・唾液分泌の調整
  • 太渓:腎陰を補い乾燥改善
  • 足三里:脾胃を補い津液生成促進

■ まとめ

唾液腺は消化の開始、潤滑、防御、口腔環境維持を担う重要な器官である。 西洋医学では酵素分泌と自律神経制御の観点から理解され、東洋医学では「津液」として全身の水分代謝と関連付けられる。 鍼灸臨床では、口腔乾燥や消化機能の改善において重要なアプローチ対象となる。

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