■ 定義
骨格筋の収縮機構とは、神経刺激により筋線維内で起こる電気的変化と、 アクチン・ミオシンの相互作用によって張力を発生する一連の過程である。
この過程は興奮収縮連関(excitation-contraction coupling)と呼ばれる。
■ 骨格筋の微細構造
- 筋線維(多核細胞)
- 筋原線維
- サルコメア(Z線〜Z線)
- アクチン(薄フィラメント)
- ミオシン(厚フィラメント)
収縮の基本単位はサルコメアである。
■ 興奮収縮連関の流れ
- 運動神経終末からアセチルコリン放出
- 筋細胞膜で活動電位発生
- T管を介して電位伝導
- 筋小胞体からCa2+放出
- トロポニンにCa2+結合
- アクチン・ミオシン架橋形成
- ATP加水分解により滑走運動
■ 滑走説(sliding filament theory)
アクチンフィラメントがミオシンフィラメントの間へ滑り込むことで サルコメアが短縮し、筋収縮が起こる。
- A帯:長さ不変
- I帯:短縮
- H帯:短縮または消失
■ Ca2+とATPの役割
- Ca2+:収縮開始の鍵
- ATP:架橋解離およびエネルギー供給
ATP欠乏では架橋が解離できず、硬直(死後硬直)が起こる。
■ 筋収縮の種類
- 等尺性収縮(長さ一定)
- 等張性収縮(張力一定)
- 求心性収縮
- 遠心性収縮
■ 筋疲労の機序
- ATP枯渇
- 乳酸蓄積
- Ca2+調節異常
- 神経筋接合部の機能低下
■ 臨床的関連
- 重症筋無力症(ACh受容体障害)
- 筋ジストロフィー
- 痙縮(上位運動ニューロン障害)
- 横紋筋融解症
■ 東洋医学的関連
骨格筋機能は、東洋医学では主に肝・脾・腎との関連で理解される。
① 肝は筋を主る
② 脾は肌肉を主る
- 脾気虚 → 筋力低下・易疲労
- 気血生成不足 → 回復遅延
③ 腎は骨を主り筋の基盤を支える
- 腎精不足 → 加齢性筋力低下
- 発育不全・慢性疲労との関連
④ 気血と収縮機構の対応
- 気:機能的エネルギー(ATP産生と類比)
- 血:栄養・酸素供給(ミトコンドリア機能と関連)
- 瘀血:局所循環障害 → 筋硬結形成
■ 鍼灸との関連
① 筋紡錘・腱器官への影響
- 筋緊張の正常化
- γ運動ニューロン調整
- 反射性弛緩
② 局所循環改善
- 血流増加
- 酸素供給改善
- 乳酸除去促進
③ 神経筋接合部への影響
- 神経伝達効率改善の可能性
- 過緊張筋の抑制
④ 中枢調整
- 痛覚抑制による過緊張解除
- 運動野活動変化報告
- 慢性疼痛による防御性収縮の解除
⑤ 臨床応用
- 筋拘縮
- スポーツ障害
- 慢性筋疲労
- 痙縮補助療法
■ まとめ
- 筋収縮は興奮収縮連関によって起こる
- Ca2+とATPが中心的役割を担う
- 滑走説が収縮の基本原理である
- 東洋医学では肝・脾・腎および気血との関連で理解される
- 鍼灸は筋緊張調整・循環改善・中枢調整に関与する可能性がある
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