バソプレシン(ADH:抗利尿ホルモン)まとめ

■ 概要

バソプレシン(ADH:Antidiuretic Hormone)は、視床下部で合成され下垂体後葉から分泌されるホルモンであり、腎臓に作用して水の再吸収を促進し、体液量および浸透圧の調節を行う。体内の水分バランス維持に不可欠なホルモンである。


■ 分泌部位


■ 標的器官


■ 主な作用

① 腎臓への作用(抗利尿作用)

  • 集合管での水再吸収促進
  • 尿量減少(濃縮尿)
  • 体液量の維持

② 血管への作用

  • 血管収縮(血圧上昇)

■ 作用機序(重要)

ADHは腎集合管のV2受容体に作用し、水チャネル(アクアポリン)を細胞膜に挿入することで水の再吸収を促進する。


■ 分泌調節

① 促進因子

  • 血漿浸透圧上昇(最も重要)
  • 脱水
  • 血圧低下・循環血液量低下
  • ストレス・痛み

② 抑制因子

  • 血漿浸透圧低下
  • 飲水
  • アルコール

■ 生理学的ポイント

  • 体液の「濃さ(浸透圧)」を調節するホルモン
  • 水分保持によって血圧維持にも関与
  • 短時間で変動する調節系

■ 異常と病態

① 分泌低下

  • 尿崩症(大量の希釈尿)
  • 脱水・口渇

② 分泌過剰

  • SIADH(抗利尿ホルモン不適合分泌症候群)
  • 水中毒(低ナトリウム血症)

■ 東洋医学的関連

ADHは体内の水分調節に関与するため、東洋医学では「腎」の水分代謝機能および「脾」の運化作用と深く関連すると考えられる。

水分代謝の異常は「水滞」「痰湿」として表現され、排尿異常や浮腫、口渇などの症状として現れる。


■ 鍼灸臨床との関連

ADHに関連する水分代謝異常に対しては、腎および脾の機能調整が重要となる。

  • 腎の調整(太谿・腎兪など)
  • 脾胃の調整(足三里・中脘など)
  • 水分代謝調整(三陰交・陰陵泉など)

頻尿・多尿・浮腫・口渇などの症状に対しては、「水分代謝の失調」という視点からのアプローチが有効となる。

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