深部静脈血栓症(DVT:Deep Vein Thrombosis)まとめ

■ 定義

深部静脈血栓症(DVT)とは、主に下肢の深部静脈に血栓が形成され、 血流が障害される疾患である。 血栓が遊離して肺動脈を閉塞すると、肺塞栓症を引き起こすため注意が必要である。


■ 原因(Virchowの三徴)

  • 血流停滞:長時間の安静、長距離移動(エコノミークラス症候群)
  • 血管内皮障害:手術・外傷・カテーテル
  • 血液凝固能亢進:悪性腫瘍、妊娠、脱水、遺伝的要因

■ 病態

下肢の深部静脈に血栓が形成されると、静脈還流が障害され、 局所のうっ血・炎症が生じる。 血栓の一部が剥離すると、血流に乗って肺動脈へ到達し、 肺塞栓症(PE)を引き起こす可能性がある。


■ 症状

  • 下肢の腫脹(片側が多い)
  • 疼痛・圧痛
  • 発赤・熱感
  • 表在静脈の怒張
  • 無症状の場合もある

■ 検査

  • Dダイマー(血栓マーカー)
  • 下肢静脈エコー(最重要)
  • 造影CT
  • ホーマンズ徴候(参考程度)

■ 西洋医学的治療

  • 抗凝固療法
    • ヘパリン
    • DOAC(直接経口抗凝固薬)
  • 血栓溶解療法(重症例)
  • 弾性ストッキング
  • 早期離床・運動
  • 下大静脈フィルター(再発防止)

■ 東洋医学的解釈

● 基本病態

  • 瘀血:血流の停滞が主病態
  • 湿熱:炎症・熱感
  • 気滞:循環障害の背景
  • 脾虚:水分代謝低下

● 証別分類

  • 瘀血局所の疼痛・腫脹・固定痛
  • 湿熱発赤・熱感・腫脹
  • 気滞重だるさ・張り感

■ 鍼灸アプローチ

● 治療方針

  • 慢性期における循環改善
  • 瘀血の改善
  • 再発予防(体質改善)

● 主要経穴

● 配穴例

● 手技

  • 軽刺激(安全重視)
  • 置鍼
  • 温灸(慢性期・冷え)

■ 鍼灸適応と注意点

● 適応

  • 慢性期(血栓安定後)
  • 再発予防
  • 下肢循環改善

● 注意(最重要)

  • 急性期のDVTは禁忌(マッサージ・強刺激NG)
  • 血栓遊離 → 肺塞栓リスク

● レッドフラッグ

  • 突然の呼吸困難
  • 胸痛
  • 失神
  • 頻脈

※肺塞栓症疑い → 緊急対応(救急要請)


■ まとめ

深部静脈血栓症は血栓形成による静脈循環障害であり、 肺塞栓症へ進展する可能性がある重要な疾患である。 鍼灸は急性期には適応外であるが、 慢性期においては循環改善・再発予防の補助として有効である。 「触ってはいけないタイミング」を理解することが極めて重要である。

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