過敏性腸症候群(IBS:Irritable Bowel Syndrome)まとめ

■ 定義

過敏性腸症候群(IBS)とは、器質的異常(炎症や腫瘍など)がないにもかかわらず、 腹痛や便通異常(下痢・便秘)を慢性的に繰り返す機能性消化管障害である。 ストレスとの関連が強く、「脳腸相関」が重要な概念となる。


■ 分類

  • 下痢型(IBS-D)
  • 便秘型(IBS-C)
  • 混合型(IBS-M)
  • 分類不能型

■ 原因

  • ストレス(最重要)
  • 自律神経の乱れ
  • 腸内環境の変化
  • 食事(脂肪・刺激物)
  • 感染後(感染性腸炎後IBS)

■ 病態

腸管の運動異常(蠕動亢進・低下)や内臓知覚過敏により、 通常では問題とならない刺激でも痛みや便通異常が生じる。 また、の相互作用(脳腸相関)により、 ストレスが症状の増悪に深く関与する。


■ 症状

  • 腹痛(排便で軽快することが多い)
  • 下痢または便秘
  • 腹部膨満感
  • 残便感
  • ストレスで悪化

■ 検査

  • 除外診断(器質的疾患の否定)
  • 血液検査
  • 内視鏡検査(必要時)

■ 西洋医学的治療

  • 薬物療法
    • 整腸薬
    • 止瀉薬・下剤
    • 抗不安薬・抗うつ薬
  • 生活習慣改善
    • ストレス管理
    • 食事調整(低FODMAP食など)

■ 東洋医学的解釈

● 基本病態

● 証別分類

  • 肝気鬱結ストレスで腹痛・張り
  • 脾虚下痢・疲労・食欲低下
  • 寒証冷えで悪化・下痢
  • 熱証便秘・腹部不快感

■ 鍼灸アプローチ

● 治療方針

  • 自律神経調整(最重要)
  • ストレス軽減
  • 腸管運動の正常化
  • 消化機能の補助

● 主要経穴

● 配穴例

● 手技

  • 中等度刺激
  • リラックス重視(置鍼)
  • 腹部は軽刺激

■ 鍼灸適応と注意点

● 適応

  • IBS全般(特にストレス関連)
  • 慢性の便通異常
  • 腹部不快感

● 注意(レッドフラッグ)

  • 血便
  • 発熱
  • 体重減少
  • 夜間症状(睡眠中の症状)

※炎症性腸疾患・大腸がんなどの除外が必須


■ まとめ

過敏性腸症候群は器質的異常を伴わない機能性疾患であり、 脳腸相関を背景にストレスと強く関連する。 鍼灸は自律神経調整やストレス軽減を通じて、 症状の安定化に有効である。 重篤疾患の除外が重要である。

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