■ 概要
細胞は外界および内部環境との間で、常に物質の出入りを行っている。 この物質移動は細胞膜を介して行われ、生命維持に不可欠な機構である。
細胞膜輸送は、エネルギー消費の有無により「受動輸送」と「能動輸送」に大別される。
■ 受動輸送
受動輸送はATPを必要とせず、濃度勾配に従って物質が移動する。
- 単純拡散
- 促進拡散
- 浸透
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 単純拡散 | 脂溶性物質が膜を直接通過 |
| 促進拡散 | チャネル・担体タンパク質を介する |
| 浸透 | 水が半透膜を通して移動 |
浸透圧は体液バランス維持に重要である。
■ 能動輸送
能動輸送はATPを消費し、濃度勾配に逆らって物質を移動させる。
- 一次能動輸送(Na⁺/K⁺ポンプなど)
- 二次能動輸送(共輸送・対向輸送)
Na⁺/K⁺ポンプは、細胞外にNa⁺を排出し、細胞内にK⁺を取り込むことで、 イオン濃度差と静止膜電位を維持している。
■ 小胞輸送
大きな分子は膜の陥入や融合によって輸送される。
- エンドサイトーシス
- エキソサイトーシス
神経伝達物質の放出はエキソサイトーシスによって行われる。
■ 浸透圧と張度
細胞外液の浸透圧が変化すると、細胞は以下の反応を示す。
- 高張液:細胞縮小
- 低張液:細胞膨張
- 等張液:変化なし
臨床では点滴液の選択に重要な概念である。
■ 輸送異常と病態
- チャネル異常症(チャネルパチー)
- 浮腫(浸透圧異常)
- 脱水
- 電解質異常
細胞膜輸送の障害は、神経・筋の興奮性異常や循環障害を引き起こす。
■ 東洋医学的視点
細胞膜輸送そのものの概念は東洋医学には存在しないが、 水分代謝や気の出入りの調整という考え方がある。
- 水滞 → 体液移動の停滞
- 気機不暢 → 物質循環の障害
物質の円滑な出入りは、東洋医学的には「通じる」状態として表現される。
■ 鍼灸との関連
鍼刺激は機械的刺激により細胞膜の機械受容チャネルを活性化する。
- イオンチャネルの開口
- 細胞内Ca²⁺濃度変化
- ATP放出
これらは細胞膜輸送の変化を介して生理反応を誘導する。
また、局所循環改善により浸透圧バランスが調整され、 浮腫や硬結の軽減につながると考えられる。
■ まとめ
細胞膜輸送は受動輸送・能動輸送・小胞輸送に分類される。 Na⁺/K⁺ポンプや浸透圧調節は生体機能の基盤である。
輸送異常は神経・筋・循環系の障害を引き起こす。
鍼灸は細胞膜レベルの反応を通じて、 生体調節機構に影響を与える可能性がある。
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