肺は呼吸を担う臓器であり、空気中の酸素を体内へ取り込み、 体内で生じた二酸化炭素を体外へ排出する役割を持っています。
このガス交換によって血液中の酸素濃度と二酸化炭素濃度が調整され、 全身の細胞が正常に働くための環境が保たれています。
また肺は呼吸だけでなく、体液の調節や免疫防御にも関与しており、 生命維持に不可欠な臓器です。
基本構造
- 肺は胸腔内に左右一対存在する。
- 右肺は3葉、左肺は2葉に分かれる。
- 内部には多数の肺胞が存在する。
肺胞は毛細血管に囲まれた小さな袋状構造で、 ここで酸素と二酸化炭素の交換が行われます。
成人では肺胞の数はおよそ数億個に達するとされ、 非常に広いガス交換面積を形成しています。
肺の主な働き
① ガス交換
肺の最も重要な働きは、肺胞で行われるガス交換です。
- 酸素(O₂)を血液へ取り込む
- 二酸化炭素(CO₂)を体外へ排出する
この交換は肺胞と毛細血管の間で拡散によって行われます。
② 呼吸運動による換気
呼吸は胸郭の運動によって行われます。
- 吸気:横隔膜が収縮し胸腔が広がる
- 呼気:横隔膜が弛緩し胸腔が縮む
この運動によって空気が肺に出入りします。
③ 酸塩基平衡の調節
肺は血液中の二酸化炭素量を調節することで、 体内の酸塩基平衡(pH)の維持にも関与します。
呼吸が速くなると二酸化炭素が多く排出され、 血液はアルカリ性へ傾きます。
④ 防御機能
肺には外部から侵入する異物や病原体を防ぐ仕組みがあります。
- 鼻毛や粘膜
- 線毛運動
- 咳反射
- 肺胞マクロファージ
これらの働きによって気道は清浄に保たれています。
呼吸の調節
呼吸は脳幹の呼吸中枢によって自動的に調節されています。
- 延髄
- 橋
また血液中の二酸化炭素濃度やpHの変化によって 呼吸の速さや深さが調節されます。
肺と恒常性
肺は次のような働きを通して体内環境の維持に関わっています。
- 酸素供給
- 二酸化炭素排出
- 血液pHの調節
- 免疫防御
- 体液バランスの調節
このように肺は呼吸だけでなく、全身の恒常性維持にも重要な役割を担っています。
東洋医学的関連
東洋医学における「肺」は、 呼吸機能だけでなく体表の防御や水分代謝など、 広い生理機能を持つ臓として考えられています。
① 肺は気を主る
肺は呼吸を通して体内の気を取り込み、 全身へ巡らせる働きを担うとされています。
この働きは、現代医学における呼吸による酸素供給と 対応する概念と考えられます。
② 肺は宣発・粛降を主る
肺には気や体液を体表へ広げる宣発と、 下方へ巡らせる粛降の働きがあるとされています。
- 宣発 → 体表への気の拡散
- 粛降 → 呼吸・水分代謝の調節
これらの働きが乱れると、咳や呼吸困難、浮腫などが起こると考えられています。
③ 肺は皮毛を主る
肺は体表の防御機能と関係し、 皮膚や体毛の状態に影響すると考えられています。
そのため肺の機能が弱ると、 風邪をひきやすい、汗の調節が乱れるなどの状態が起こるとされます。
④ 肺は鼻に開竅する
肺は鼻と密接に関係するとされ、 呼吸や嗅覚の状態に影響します。
- 鼻づまり
- 嗅覚低下
- 鼻水
これらは肺の機能状態を反映すると考えられています。
鍼灸との関連
鍼灸治療では、呼吸機能の調整や体表の防御機能を整える目的で 肺に関係する経絡を用いた施術が行われます。
関連する主な症状
- 咳
- 喘息様症状
- 息切れ
- 風邪をひきやすい
- 鼻づまり
- アレルギー症状
関連する経絡
肺経と大腸経は表裏関係にあり、 呼吸器や体表の調節に関係するとされています。
臨床でよく用いられる経穴
これらの経穴は呼吸器症状の調整や 免疫機能の改善を目的として用いられることが多く、 咳・喘息・風邪などの症状に応用されます。
まとめ
- 肺は呼吸を担い、酸素の取り込みと二酸化炭素の排出を行う
- 肺胞でガス交換が行われる
- 呼吸は横隔膜や胸郭の運動によって行われる
- 血液の酸塩基平衡の調節にも関与する
- 東洋医学では気の調節や体表防御を担う臓とされる
- 鍼灸では咳・喘息・風邪などの症状に関連して治療対象となる

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