乳腺まとめ

■ 基本構造

乳腺は乳房内に存在する分泌腺であり、授乳に関与する器官である。皮下脂肪の中に埋もれるように存在し、乳頭へと開口する。

  • 乳腺葉:15〜20個程度の腺組織
  • 乳腺小葉:乳汁を産生する単位
  • 乳管:乳汁を乳頭へ運ぶ管
  • 乳頭・乳輪:乳汁排出部

■ はたらき(西洋医学)

① 乳汁の産生

プロラクチンの作用により乳腺小葉で乳汁が産生される。

② 乳汁の射出

オキシトシンにより乳管周囲の筋上皮細胞が収縮し、乳汁が射出される(射乳反射)。

③ 免疫機能

母乳中には免疫物質(IgAなど)が含まれ、新生児の感染防御に寄与する。


■ 調節機構

  • プロラクチン:乳汁産生
  • オキシトシン:乳汁射出
  • エストロゲン・プロゲステロン:乳腺発達

■ 臨床との関連(西洋医学)

  • 乳腺炎:授乳期の感染・うっ滞
  • 乳腺症:ホルモンバランス異常による変化
  • 乳がん
  • 乳汁分泌異常(過多・不足)

■ 東洋医学的観点

① 肝との関係(疏泄・乳汁分泌)

乳房は「肝」と密接に関連するとされる。肝の疏泄作用が低下すると乳汁の分泌障害や乳房の張り・痛みが生じる。

② 胃との関係(乳汁生成)

「乳は胃の余り」とされ、飲食物から生成された栄養が乳汁の基盤となる。胃・脾の機能低下は乳汁不足につながる。

③ 脾との関係(気血生成)

脾は気血を生み、乳汁の材料を供給する。脾虚では乳汁分泌が低下する。

④ 気血の状態

  • 気滞:乳房の張り・痛み・しこり
  • 血虚:乳汁不足
  • 瘀血:しこり・慢性炎症
  • :乳腺炎・発赤・腫脹

⑤ 経絡との関係

  • 胃経:乳房部を通過し、乳腺と密接に関連
  • 肝経:気機調整に関与
  • 任脈:前正中を通り、乳房とも関連

■ 鍼灸臨床との関連

① 治療方針

② 主な適応

  • 乳汁分泌不足
  • 乳腺炎
  • 乳房痛
  • 乳腺症

③ 代表的な経穴

  • 膻中:気の調整・乳房部の循環改善
  • 乳根:局所の血流改善
  • 天宗:乳汁分泌促進(肩甲部からのアプローチ)
  • 足三里:脾胃機能の強化
  • 太衝:肝気の調整
  • 三陰交:気血の補充

④ 臨床ポイント

乳腺の問題は「流れるか(疏通)」と「作れるか(生成)」の2軸で評価すると整理しやすい。ストレス(肝)と栄養状態(脾胃)の両面からのアプローチが重要である。


■ まとめ

乳腺は乳汁の産生と分泌を担う器官であり、ホルモンによって調節される。東洋医学では肝・脾・胃と気血の状態として理解され、鍼灸では「巡らせる・補う・清する」ことを軸に治療を行う。

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