はじめに
炎症は本来、 組織修復のための一過性の反応ですが、長期に持続することで病的状態へ移行します。
この「慢性炎症」は、 東洋医学では「瘀血(おけつ)」を中心とした停滞状態として理解することができます。
慢性炎症とは(現代医学)
慢性炎症とは、 低強度の炎症反応が長期間持続する状態であり、
- マクロファージの持続的活性化
- サイトカインの慢性的産生
- 組織破壊と修復の反復
が特徴です。
いわゆる「静かな炎症(silent inflammation)」です。
慢性炎症の原因
- 感染の持続
- 生活習慣(食事・運動不足)
- 肥満
- ストレス
- 加齢
慢性炎症と疾患
- 動脈硬化
- 糖尿病
- がん
- 関節疾患
- 神経変性疾患
多くの慢性疾患の基盤となります。
瘀血とは
瘀血とは、「血の流れが滞り、機能を失った状態」を指します。
- 血流低下
- 血液の粘稠化
- 微小循環障害
などを含みます。
慢性炎症と瘀血の対応関係
① 血流障害
炎症が持続すると、 血管内皮が障害され、 血流が低下します。
→ 瘀血
② 組織破壊と修復の反復
慢性炎症では、 修復不全が続きます。
→ 血の質の低下(瘀血)
③ 発痛物質の蓄積
炎症性物質が除去されず、 局所に停滞します。
→ 停滞(瘀血)
④ 線維化・硬化
組織が硬くなり、 流れがさらに悪化します。
→ 瘀血の固定化
病態の進行モデル
つまり、炎症の最終形は「瘀血」と捉えることができます。
臨床的特徴(瘀血としての慢性炎症)
- 固定性の痛み
- 刺すような痛み
- 慢性的な違和感
- 皮膚の色調変化(暗色)
- 硬結の存在
経絡との関係
瘀血は、 経絡の流れを阻害します。
その結果、
- 圧痛点
- トリガーポイント
- 冷え・しびれ
が出現します。
これは、 慢性炎症の局所表現ともいえます。
鍼灸との関連
基本戦略
「活血化瘀」
- 血流改善
- 停滞物質の除去
- 組織再生の促進
局所治療
- 硬結への刺鍼
- 深部への刺激
全身調整
- 気の流れを整える(行気)
- 炎症体質の改善
温熱療法
慢性炎症では、 温めることで循環が改善します。
生活習慣との関係
統合的理解
慢性炎症は、「炎症が終わらない状態」ではなく、「流れが回復できない状態」です。
つまり、慢性炎症=瘀血を中心とした停滞病態と捉えることが重要です。
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