炎症のはたらき

概要

炎症(inflammation)は、組織が損傷や感染を受けた際に生じる生体防御反応であり、異物の排除と組織修復を目的とする。単なる「悪い反応」ではなく、回復に必要な生理的プロセスである。


炎症の目的

  • 病原体や異物の排除
  • 損傷組織の除去
  • 組織修復の促進

炎症の5徴候

  • 発赤(血流増加)
  • 熱感(代謝血流亢進)
  • 腫脹(血管透過性亢進による浮腫)
  • 疼痛(神経刺激)
  • 機能障害

炎症のしくみ(急性炎症)

1.血管反応

損傷部位では血管が拡張し、血流が増加する。これにより発赤や熱感が生じる。

2.血管透過性の亢進

血管から血漿成分が漏出し、浮腫(腫脹)が生じる。

3.白血球の遊走

好中球やマクロファージが血管外へ移動し、異物の貪食を行う。

4.炎症性メディエーターの作用

ヒスタミン、プロスタグランジン、サイトカインなどが放出され、炎症反応を増幅する。

5.組織修復

炎症後、線維芽細胞や血管新生により組織の修復が進む。


慢性炎症

炎症が長期間持続すると慢性炎症となり、組織障害や機能低下を引き起こす。

  • 軽度の炎症が持続
  • 免疫異常やストレスが関与
  • 生活習慣病や慢性疼痛の基盤となる

炎症と全身への影響

  • 疼痛の発生(発痛物質)
  • 浮腫(血管透過性亢進)
  • 発熱(体温調節中枢への作用)
  • 倦怠感(全身反応)

東洋医学的関連

熱(ねつ)・火(か)

炎症は東洋医学では「熱」「火」として捉えられる。

気血の停滞

炎症部位では気血の流れが滞る

腫脹と水滞

浮腫は水滞(津液停滞)として理解される。

正気と邪気の戦い

炎症は正気(防御力)と邪気(病因)の闘争過程と捉えられる。

慢性炎症と虚証

慢性炎症では、気虚血虚腎虚などの虚証が関与し、回復力低下がみられる。


鍼灸との関連

炎症の調整作用

鍼灸は炎症を単純に抑えるのではなく、過剰な炎症を抑制し、必要な炎症は促進するという調整作用を持つ。

血流改善

血流促進により炎症物質の除去と組織修復が促進される。

鎮痛作用

神経伝達物質や内因性オピオイドの作用により、炎症性疼痛が軽減される。

免疫調整

免疫系への作用により、炎症反応の過不足が調整される。

浮腫の改善

リンパ循環や血流改善により、炎症に伴う腫脹の軽減が期待される。

代表的な経穴


まとめ

  • 炎症は異物排除と組織修復のための生体反応である
  • 発赤・熱感・腫脹・疼痛・機能障害が特徴
  • 急性炎症と慢性炎症で役割と影響が異なる
  • 東洋医学では「熱」「気血の停滞」「正気と邪気」と関連する
  • 鍼灸は炎症の調整・血流改善・鎮痛に寄与する

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