心筋のはたらき

■ 基本構造

心筋は心臓を構成する筋肉であり、「自動的に収縮する」「規則正しく拍動する」という特徴を持つ。骨格筋平滑筋の中間的な性質を持つ特殊な筋組織である。

  • 横紋筋だが不随意運動
  • 自動能(自ら興奮を発生)
  • 電気的に連結(ギャップ結合)

■ 刺激伝導系

  • 洞結節(ペースメーカー)
  • 房室結節
  • ヒス束 → プルキンエ線維

■ はたらき(西洋医学)

① 血液ポンプ機能

心筋の収縮により血液を全身へ送り出す。これにより酸素・栄養の供給と老廃物の回収が行われる。

② 自動能(リズム生成)

洞結節が一定のリズムで電気信号を発生し、心拍を維持する。

③ 興奮伝導

発生した電気信号が心筋全体へ伝わり、協調的な収縮を生み出す。

④ 収縮力の調整

自律神経ホルモンにより心拍数や収縮力が調整される。

⑤ 持久性の高い活動

心筋は疲労しにくく、絶えず収縮を続けることができる(ミトコンドリアが豊富)。


■ 臨床との関連(西洋医学)

  • 心不全(ポンプ機能低下)
  • 不整脈(リズム異常)
  • 心筋梗塞(血流障害)
  • 心筋症

■ 東洋医学的観点

① 心の働き(血脈を主る)

心は血脈を主り、血液の循環と密接に関係する。心筋のポンプ機能はこの働きと対応する。

② 心神(精神活動)

心は神を蔵し、精神・意識・情動を司る。心拍の乱れは精神状態とも関連する。

③ 気の推動作用

血液循環は「気が血を動かす」働きとして理解される。気虚では循環低下が起こる。

④ 血との関係

血虚は心筋の栄養不足、瘀血は循環障害として現れる。

⑤ 気血水の異常

  • 気虚:動悸・疲労・息切れ
  • 血虚:不眠・めまい・動悸
  • 瘀血:胸痛・循環障害
  • 痰:動悸・不整脈

■ 鍼灸臨床との関連

① 治療方針

  • 補気(心拍・循環の強化)
  • 養血(心筋の栄養補給)
  • 活血(血流改善)
  • 安神(精神安定)
  • 化痰(不整脈傾向の調整)

② 主な適応

  • 動悸
  • 不整脈
  • 息切れ
  • 慢性疲労
  • 不安・不眠

③ 代表的な経穴

  • 神門:心神安定・動悸改善
  • 内関:心機能・自律神経調整
  • 心兪:心の補強
  • 膻中:気の調整・胸部の循環改善
  • 足三里:全身の気血補強

④ 臨床ポイント

心筋は「止まらない筋」であり、循環と精神の両面に関わる。鍼灸では単なる心臓だけでなく、気血・精神状態・自律神経のバランスを総合的に整えることが重要である。


■ まとめ

心筋は自動的かつ規則的に収縮し、血液循環を維持する重要な筋組織である。東洋医学では心・血・気の働きとして理解され、鍼灸では循環と精神の両面から機能を支える。

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