動脈硬化はなぜ進むのか
― 血管が“硬く厚くなる”理由 ―

■ 結論:動脈硬化は「血管の慢性炎症と修復反応」

動脈硬化とは単なる「血管の老化」ではなく、血管内側で炎症と修復が繰り返された結果、血管が硬く厚くなっていく状態です。

本来、血管は

  • しなやかに伸び縮みする
  • 血液をスムーズに流す
  • 内壁を保護する

という働きをしています。

しかし、

  • 高血圧
  • 高血糖
  • 喫煙
  • 脂質異常

などによって血管内皮が傷つくと、 身体は修復しようとして炎症反応を起こします。

その結果、

  • 血管壁が厚くなる
  • 弾力が失われる
  • 内腔が狭くなる

という「動脈硬化」が進行していきます。

つまり動脈硬化は、「脂が付着した状態」ではなく「慢性的な血管修復反応」 なのです。


■ 血管では何が起きているのか(生理・病理)

① 血管内皮が傷つく

血管の最も内側には「血管内皮」があります。

これは、

  • 血流調整
  • 炎症制御
  • 血栓予防

を行う重要な組織です。

しかし、

  • 高血圧による圧力
  • 高血糖による酸化ストレス
  • 喫煙による障害

などで内皮が傷害されます。

② LDLコレステロールが入り込む

傷ついた血管内皮からLDLコレステロールが血管壁へ入り込みます。

さらに酸化されると、 異物として免疫細胞に処理されるようになります。

するとマクロファージが集まり、 泡沫細胞を形成します。

③ 炎症が慢性化する

泡沫細胞が増えると炎症性サイトカインが放出され、 血管壁の炎症が慢性化します。

その結果、

  • 平滑筋増殖
  • 線維化
  • 石灰化

が進み、血管は硬く厚くなります。

つまり身体は、「壊している」のではなく「修復し続けている」 のです。

④ 血流が悪化する

血管が狭く硬くなると、

  • 血流低下
  • 酸素不足
  • 血圧上昇

が起こります。

さらに血管が破綻すると、

  • 血栓
  • 心筋梗塞
  • 脳梗塞

などへつながります。


■ 動脈硬化が進みやすい状態

① 高血圧 → 血管への圧力負荷

  • 内皮損傷
  • 血管壁ストレス

→ 機械的障害

② 高血糖 → 酸化ストレス増加

  • 糖化
  • 炎症促進

→ 内皮機能低下

③ 脂質異常 → LDL増加

  • 酸化LDL増加
  • 泡沫細胞形成

→ プラーク形成

④ 喫煙・ストレス → 血管収縮

  • 交感神経亢進
  • 酸化障害

→ 慢性炎症促進


■ 臨床での見方(最重要)

① 「どこの血管か」で症状が変わる

  • 冠動脈 → 狭心症・心筋梗塞
  • 脳血管 → 脳梗塞
  • 下肢 → 閉塞性動脈硬化症

② 「硬さ」で見る

  • 収縮期血圧上昇
  • 脈圧増大

→ 血管弾性低下

③ 「炎症」で見る

  • 糖尿病
  • 肥満
  • 慢性炎症

→ 動脈硬化促進

④ 見逃してはいけないケース

  • 胸痛
  • 突然の麻痺
  • 歩行時の足痛

→ 血管閉塞の可能性


■ 東洋医学でどう見るか(差別化)

瘀血(血流停滞)

  • 刺す痛み
  • 慢性循環障害

→ 血流抵抗増加

痰湿(余分な停滞)

  • 肥満
  • 重だるい

→ 脂質・代謝異常

肝陽上亢(興奮亢進)

  • 高血圧
  • イライラ

→ 血管ストレス増加

腎虚(老化)

  • 加齢
  • 慢性化

→ 血管修復力低下

→ 動脈硬化は「慢性的な循環障害」として捉える


■ よくある落とし穴

  • 全部をコレステロールのせいにする
  • 加齢だけで説明する
  • 炎症を見ない

→ 動脈硬化は“慢性炎症と修復反応”


■ まとめ(臨床で使う視点)

  • 動脈硬化=血管の慢性炎症
  • 血管内皮障害から始まる
  • 修復反応が慢性化して硬くなる
  • 血流低下と血栓リスクを生む

「血管が古くなる」ではなく
「なぜ血管が修復し続けているのか」を考える

これが動脈硬化理解の本質です。


■ 関連記事

0 件のコメント:

コメントを投稿