■ 定義
不安障害とは、 過度で持続的な不安や恐怖によって、 日常生活や社会生活に支障をきたす精神疾患の総称である。 誰にでもある「不安」とは異なり、 状況に見合わない強い不安や身体症状が続くことが特徴である。
■ 主な種類
- 全般不安症(GAD)
- パニック症(パニック障害)
- 社交不安症(社交不安障害)
- 限局性恐怖症
- 広場恐怖症
■ 原因・危険因子
- 精神的ストレス
- 遺伝的要因
- 幼少期の体験
- 脳内神経伝達物質(セロトニン・GABA・ノルアドレナリンなど)の機能異常
- 慢性的な睡眠不足
- 性格傾向(心配性・完璧主義など)
■ 病態
脳内の不安を制御する神経回路や神経伝達物質のバランスが乱れ、 危険がない状況でも強い不安反応が起こる。 交感神経が過剰に働くことで、 動悸や発汗などの身体症状も現れやすい。
■ 主な症状
● 精神症状
- 過度な不安
- 緊張感
- 落ち着かない
- 集中力低下
- 将来への過剰な心配
- イライラしやすい
● 身体症状
- 動悸
- 息苦しさ
- 発汗
- 手足の震え
- 筋肉の緊張
- 肩こり
- 頭痛
- めまい
- 胃腸症状(吐き気・下痢など)
- 不眠
■ 合併しやすい疾患
- うつ病
- パニック障害
- 不眠症
- 自律神経症状
- アルコール依存症
■ 検査・診断
- 問診
- 心理評価尺度
- DSM-5・ICD診断基準
- 身体疾患の除外(血液検査・甲状腺機能検査など)
■ 西洋医学的治療
● 薬物療法
- SSRI
- SNRI
- 抗不安薬(ベンゾジアゼピン系など)
● 精神療法
- 認知行動療法(CBT)
- 心理教育
- リラクゼーション法
● 生活療法
- 規則正しい生活
- 十分な睡眠
- 適度な運動
- ストレス管理
■ 予防
- 睡眠不足を避ける
- 適度な運動
- ストレスをため込まない
- 相談できる環境を持つ
- カフェイン・アルコールの過剰摂取を控える
■ 東洋医学的解釈
● 基本病態
● 証別分類
■ 鍼灸アプローチ
● 基本方針
- 自律神経の調整
- 精神的緊張の緩和
- 睡眠の改善
- 気血の巡りを整える
- QOL向上
● 主要経穴
● 配穴例
● 手技
- 穏やかな軽刺激を基本とする
- 安心できる施術環境を整える
- 呼吸を整えながら施術する
■ 鍼灸適応と注意点
● 適応
- 軽度~中等度の不安症状の補助療法
- 肩こり・頭痛など身体症状
- 睡眠障害
- ストレス関連症状
- 自律神経症状
● 注意(レッドフラッグ)
- 自殺念慮・希死念慮
- 著しい日常生活障害
- 急激な症状悪化
- 幻覚・妄想など精神病症状
- 強い抑うつ症状の合併
※症状が強く日常生活に支障がある場合や、自殺念慮・精神病症状を伴う場合は、精神科・心療内科での専門的治療を優先する。鍼灸は薬物療法や精神療法を補完する目的で行う。
■ ポイント
- 不安障害は過度な不安や恐怖によって日常生活に支障をきたす精神疾患群である。
- 全般不安症(GAD)は慢性的な過度の心配が特徴である。
- 動悸・発汗・振戦など自律神経症状を伴いやすい。
- 治療の基本は認知行動療法(CBT)とSSRIなどの薬物療法である。
- うつ病やパニック障害を合併することが多い。
- 身体疾患(甲状腺機能亢進症、不整脈など)との鑑別が重要である。
■ まとめ
不安障害は、 過度で持続的な不安や恐怖によって、 精神症状と身体症状の両方が現れる精神疾患群である。 交感神経の過活動により、 動悸・発汗・筋緊張などを伴うことが多い。 治療は認知行動療法や薬物療法を中心に行われる。 鍼灸は自律神経の調整や睡眠改善、 身体症状の緩和、 QOL向上を目的とした補助療法として活用される。

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