■ 定義
肝がんとは、 肝臓に発生する悪性腫瘍である。 多くは肝細胞がん(HCC)であり、 慢性肝炎や肝硬変を背景として発症することが多い。
■ 原因・危険因子
- B型肝炎ウイルス(HBV)感染
- C型肝炎ウイルス(HCV)感染
- 肝硬変
- アルコール性肝障害
- 脂肪肝・NASH(非アルコール性脂肪肝炎)
- 糖尿病
- 肥満
- アフラトキシン(カビ毒)への曝露
■ 病態
慢性的な肝細胞の炎症と再生が繰り返されることで、 遺伝子異常が蓄積し、 肝細胞ががん化する。 初期には症状が乏しいが、 進行すると肝機能低下や門脈圧亢進を伴うことがある。
■ 分類
● 原発性肝がん
- 肝細胞がん(最も多い)
- 肝内胆管がん
● 転移性肝がん
- 胃がん・大腸がん・膵がんなどから転移する
■ 主な症状
初期は無症状のことが多い。
- 全身倦怠感
- 食欲不振
- 体重減少
- 右季肋部痛
- 腹部膨満感
- 黄疸
- 腹水
- 発熱
■ 合併症
- 肝硬変
- 門脈圧亢進症
- 食道・胃静脈瘤
- 腹水
- 肝性脳症
- 腫瘍破裂による腹腔内出血
■ 検査
- 腹部超音波検査
- 造影CT検査
- 造影MRI検査
- 血液検査(肝機能)
- 腫瘍マーカー(AFP・PIVKA-II)
- 肝生検(必要時)
■ 西洋医学的治療
● 手術療法
- 肝切除術
● 局所療法
- ラジオ波焼灼療法(RFA)
- マイクロ波凝固療法
● 血管内治療
- 肝動脈化学塞栓療法(TACE)
● 薬物療法
- 分子標的薬
- 免疫チェックポイント阻害薬
● 肝移植
- 適応を満たす症例で行われる
■ 予防
- B型肝炎ワクチン接種
- 肝炎ウイルスの治療
- 禁酒・節酒
- 肥満予防
- 脂肪肝の改善
- 定期的な腹部超音波検査
■ 東洋医学的解釈
● 基本病態
● 証別分類
■ 鍼灸アプローチ
● 基本方針
- QOL向上
- 食欲維持
- 倦怠感軽減
- 術後・治療後の回復支援
- 自律神経調整
● 主要経穴
● 配穴例
● 手技
- 軽刺激を基本とする
- 出血傾向がある場合は慎重に施術する
- 腹水や著しい全身衰弱では体位や刺激量に十分配慮する
■ 鍼灸適応と注意点
● 適応
- 術後の体力低下
- 食欲不振
- 慢性的な倦怠感
- 抗がん治療による悪心
- QOL向上
● 注意(レッドフラッグ)
- 黄疸の出現・増悪
- 急激な腹部膨満(腹水)
- 吐血・下血
- 意識障害(肝性脳症)
- 激しい右上腹部痛(腫瘍破裂など)
※肝がんが疑われる場合や、肝硬変・慢性肝炎の患者に新たな症状が出現した場合は、速やかに消化器内科・肝臓専門医を受診する。鍼灸は標準治療を補完する目的で行う。
■ ポイント
- 原発性肝がんの約90%以上は肝細胞がんである。
- B型・C型肝炎ウイルス感染が最大の危険因子である。
- 肝硬変を背景に発症することが多い。
- 腫瘍マーカーはAFPとPIVKA-IIが代表的である。
- 早期は無症状のことが多く、定期的な超音波検査が重要である。
- ラジオ波焼灼療法(RFA)や肝動脈化学塞栓療法(TACE)は代表的な治療法である。
- 進行すると黄疸・腹水・肝性脳症など肝不全症状を呈する。
■ まとめ
肝がんは、 主に肝細胞から発生する悪性腫瘍であり、 B型・C型肝炎や肝硬変を背景に発症することが多い。 初期には自覚症状が乏しいため、 慢性肝疾患のある患者では定期的な画像検査と腫瘍マーカー測定が重要である。 治療は肝切除術、ラジオ波焼灼療法、肝動脈化学塞栓療法、薬物療法、肝移植などを病期や肝機能に応じて選択する。 鍼灸は術後や薬物療法中の倦怠感・食欲低下の改善、 QOL向上を目的とした補助療法として活用される。

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