生理学 4-4 微小循環

微小循環とは、細動脈・毛細血管・細静脈からなる末梢循環単位を指す。

心拍出量や血圧が「大循環の指標」であるのに対し、 微小循環は「組織レベルの実効的血流」を決定する。

酸素供給・栄養交換・老廃物除去は、 すべて微小循環の状態に依存する。


■ 構成要素

① 細動脈(抵抗血管)

平滑筋を有し、血流量を調節する。 末梢血管抵抗の主座である。

② 毛細血管

単層内皮細胞からなり、 ガス・栄養・水分の交換が行われる。

③ 細静脈

回収路として働き、炎症反応の場ともなる。


■ 血流調節機構

① 局所代謝性調節

組織での酸素低下・CO₂上昇により血管拡張が起こる。

② 神経性調節

交感神経刺激により細動脈は収縮する。

③ 内皮依存性調節

内皮細胞から一酸化窒素(NO)が放出され、 血管拡張が生じる。

④ スターリングの法則

毛細血管での水分移動は、

  • 毛細血管内圧
  • 血漿膠質浸透圧

のバランスで決まる。


■ 微小循環障害

  • 慢性血管収縮(冷え・ストレス)
  • 内皮機能障害
  • 血液粘稠度上昇
  • 炎症による透過性亢進

これらは組織虚血・浮腫・慢性疼痛の基盤となる。


■ 東洋医学的関連

① 瘀血の実体

微小循環障害は瘀血概念の中核と考えられる。

  • 末梢冷感
  • 固定痛
  • 皮膚色調暗化

② 気滞と血流停滞

交感神経亢進は細動脈収縮をもたらす。 これは気機鬱滞と機能的に重なる。

③ 寒邪と血管収縮

寒冷刺激は血管収縮を招く。 「寒則収引」は微小循環レベルで理解できる。

④ 炎症と熱

炎症時の毛細血管拡張・透過性亢進は、 「熱」症状(発赤・腫脹)と一致する。

⑤ 水滞と浮腫

スターリングバランス破綻は浮腫を生む。 これは水湿停滞と対応可能である。


■ 鍼灸との関連

① 局所血流増加

刺鍼により軸索反射が起こり、 C線維を介して血管拡張が生じる。

NO放出増加により微小血流が改善する。

② 内皮機能改善

慢性ストレスや生活習慣により低下した内皮機能を、 自律神経調整を通じて回復させる可能性がある。

③ 冷え症への応用

末梢血管収縮型冷えでは、 交感神経抑制と局所血管拡張が重要。

④ 慢性疼痛と虚血

筋硬結部位は局所虚血状態であることが多い。 微小循環改善は疼痛閾値を上昇させる。

⑤ 浮腫への作用

血流改善とリンパ流促進により、 組織間液停滞の改善が期待される。


■ まとめ

  • 微小循環は組織レベルの血流単位である
  • 細動脈が血流量を調節する
  • 内皮機能が重要な役割を担う
  • 虚血・炎症・浮腫の基盤となる
  • 瘀血・寒・熱・水滞と機能的に対応可能
  • 鍼灸は血流改善を通じ症状改善に寄与する

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