微小循環とは、細動脈・毛細血管・細静脈からなる末梢循環単位を指す。
心拍出量や血圧が「大循環の指標」であるのに対し、 微小循環は「組織レベルの実効的血流」を決定する。
酸素供給・栄養交換・老廃物除去は、 すべて微小循環の状態に依存する。
■ 構成要素
① 細動脈(抵抗血管)
平滑筋を有し、血流量を調節する。 末梢血管抵抗の主座である。
② 毛細血管
単層内皮細胞からなり、 ガス・栄養・水分の交換が行われる。
③ 細静脈
回収路として働き、炎症反応の場ともなる。
■ 血流調節機構
① 局所代謝性調節
組織での酸素低下・CO₂上昇により血管拡張が起こる。
② 神経性調節
交感神経刺激により細動脈は収縮する。
③ 内皮依存性調節
内皮細胞から一酸化窒素(NO)が放出され、 血管拡張が生じる。
④ スターリングの法則
毛細血管での水分移動は、
- 毛細血管内圧
- 血漿膠質浸透圧
のバランスで決まる。
■ 微小循環障害
- 慢性血管収縮(冷え・ストレス)
- 内皮機能障害
- 血液粘稠度上昇
- 炎症による透過性亢進
これらは組織虚血・浮腫・慢性疼痛の基盤となる。
■ 東洋医学的関連
① 瘀血の実体
微小循環障害は瘀血概念の中核と考えられる。
- 末梢冷感
- 固定痛
- 皮膚色調暗化
② 気滞と血流停滞
交感神経亢進は細動脈収縮をもたらす。 これは気機鬱滞と機能的に重なる。
③ 寒邪と血管収縮
寒冷刺激は血管収縮を招く。 「寒則収引」は微小循環レベルで理解できる。
④ 炎症と熱
炎症時の毛細血管拡張・透過性亢進は、 「熱」症状(発赤・腫脹)と一致する。
⑤ 水滞と浮腫
スターリングバランス破綻は浮腫を生む。 これは水湿停滞と対応可能である。
■ 鍼灸との関連
① 局所血流増加
刺鍼により軸索反射が起こり、 C線維を介して血管拡張が生じる。
NO放出増加により微小血流が改善する。
② 内皮機能改善
慢性ストレスや生活習慣により低下した内皮機能を、 自律神経調整を通じて回復させる可能性がある。
③ 冷え症への応用
末梢血管収縮型冷えでは、 交感神経抑制と局所血管拡張が重要。
④ 慢性疼痛と虚血
筋硬結部位は局所虚血状態であることが多い。 微小循環改善は疼痛閾値を上昇させる。
⑤ 浮腫への作用
血流改善とリンパ流促進により、 組織間液停滞の改善が期待される。
■ まとめ
- 微小循環は組織レベルの血流単位である
- 細動脈が血流量を調節する
- 内皮機能が重要な役割を担う
- 虚血・炎症・浮腫の基盤となる
- 瘀血・寒・熱・水滞と機能的に対応可能
- 鍼灸は血流改善を通じ症状改善に寄与する
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