血圧とは、血液が血管壁に及ぼす圧力である。
平均血圧(Mean Arterial Pressure)は、血圧 = 心拍出量(CO) × 末梢血管抵抗(TPR)によって規定される。
したがって血圧は、
- 心機能
- 血管トーン
- 循環血液量
- 自律神経活動
の統合的結果である。
■ 短期的調節(秒〜分)
① 圧受容体反射(バロレセプター反射)
頸動脈洞・大動脈弓に存在する圧受容体が 血圧変化を感知する。
- 血圧上昇 → 交感神経抑制
- 血圧低下 → 交感神経亢進
延髄心血管中枢を介して即時調整が行われる。
② 交感神経作用
- 心拍数増加
- 収縮力増強
- 血管収縮(α1受容体)
■ 中期的調節(時間単位)
① レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)
腎血流低下によりレニン分泌が増加。
- アンジオテンシンII:強力な血管収縮
- アルドステロン:Na・水再吸収増加
→ 循環血液量増加
② バソプレシン(ADH)
水再吸収を促進し、血液量を増加させる。
■ 長期的調節(慢性)
腎臓は体液量を調節することで、 長期的血圧を規定する。
塩分過多・腎機能低下は慢性高血圧の要因となる。
■ 血圧異常の機序
① 高血圧
- 交感神経過活動
- 血管平滑筋収縮持続
- RAAS亢進
- 血管リモデリング
② 低血圧
- 拍出量低下
- 血液量不足
- 自律神経失調
■ 東洋医学的関連
① 肝陽上亢と高血圧
ストレスによる交感神経亢進は、 血管収縮・心拍数増加をもたらす。
これは肝陽上亢・肝火上炎の病態と重なる。
② 瘀血と血管抵抗
慢性血管収縮や血管壁硬化は、 瘀血概念と機能的に対応する。
③ 腎と水液代謝
腎は水を主る。 RAAS系による血液量調節は、 腎の水液代謝機能と直結する。
④ 気虚と低血圧
心拍出量低下や自律神経低活動は、 気虚の臨床像(易疲労・立ちくらみ)と重なる。
⑤ 寒邪と血管収縮
寒冷刺激は交感神経を介して血管収縮を起こす。 「寒則収引」は血圧上昇機序の一部と一致する。
■ 鍼灸との関連
① 交感神経抑制作用
鍼刺激は延髄心血管中枢に作用し、 交感神経活動を抑制する。
→ 血管拡張 → 心拍数低下 → 血圧安定
② 一酸化窒素(NO)放出
局所および全身性に血管拡張が促進される。 後負荷軽減が起こる。
③ RAAS系への影響
動物実験ではレニン活性低下が報告されている。 体液性高血圧に対する補助的調整が期待される。
④ ストレス性高血圧への対応
情動緊張緩和により、 心拍数・血管収縮の慢性亢進を是正する。
⑤ 低血圧へのアプローチ
気虚型低血圧では、 自律神経バランス調整により 過度な副交感優位を改善する可能性がある。
■ まとめ
- 血圧=心拍出量×末梢血管抵抗
- 短期調節は自律神経反射
- 中長期調節はRAASと腎機能
- 高血圧は神経・血管・体液の複合病態
- 東洋医学の肝・腎・瘀血概念と対応可能
- 鍼灸は自律神経・血管機能を通じ血圧に影響する
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