■ 概要
グルカゴンは膵臓のランゲルハンス島α細胞から分泌されるホルモンであり、血糖値を上昇させる主要なホルモンである。主に肝臓に作用し、エネルギーを「動員する」方向に働く分解系(異化)のホルモンである。
■ 分泌部位
- 膵臓 ランゲルハンス島 α細胞
■ 標的器官
- 肝臓(最も重要)
- 脂肪組織
■ 主な作用
① 糖代謝
- 血糖値を上昇させる
- 肝臓でのグリコーゲン分解促進
- 糖新生の促進(アミノ酸・乳酸からグルコース産生)
② 脂質代謝
- 脂肪分解の促進(脂肪酸の動員)
- ケトン体産生の促進(肝臓)
③ タンパク質代謝
- 糖新生の材料としてアミノ酸利用を促進
■ 分泌調節
① 促進因子
- 低血糖(最も重要)
- アミノ酸(高タンパク食後など)
- 交感神経刺激
② 抑制因子
- 高血糖
- インスリン
- ソマトスタチン
■ 作用機序(重要)
グルカゴンは肝細胞の受容体に結合し、cAMP(サイクリックAMP)を介したシグナル伝達を活性化することで、グリコーゲン分解および糖新生を促進する。
■ インスリンとの関係
- インスリン:血糖を下げる(同化)
- グルカゴン:血糖を上げる(異化)
- 両者は拮抗的に働き、血糖恒常性を維持する
■ 異常と病態
① 分泌過剰
- 高血糖
- 糖尿病の悪化因子
② 分泌低下
- 低血糖時の回復遅延
■ 生理学的ポイント
- 空腹時・絶食時に重要なホルモン
- 主な標的は肝臓(筋肉には直接作用しない)
- 「血糖を維持する防御ホルモン」として働く
■ 東洋医学的関連
グルカゴンの働きは、体内に蓄えられたエネルギーを動員する機能であり、東洋医学では「肝」の疏泄作用や「気の発散」と関連づけて考えることができる。
特に、空腹時やストレス時にエネルギーを引き出す作用は、「肝気の疏泄」や「気機の調達」と対応し、これが過剰になると気の亢進(肝気上逆)として現れることもある。
■ 鍼灸臨床との関連
鍼灸では、自律神経系を介して血糖調節に関与する可能性があり、グルカゴン分泌にも間接的に影響を与えると考えられる。特に交感神経優位の状態ではグルカゴン分泌が促進されやすい。
臨床的には、血糖変動の大きい症例やストレス関連症状に対して、肝・脾のバランスを重視した治療が重要となる。
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