吸収のはたらき

1. 吸収とは何か(全体像)

吸収とは、消化によって分解された栄養素や水分・電解質を消化管から体内(血液・リンパ)へ取り込む生理機能である。


2. 主なはたらき

① 栄養素の取り込み

  • 糖質:ブドウ糖として吸収 → 血液へ
  • タンパク質:アミノ酸として吸収 → 血液へ
  • 脂質:脂肪酸として吸収 → リンパへ(乳び管)

② 水分の吸収

消化管内の水分を回収し、体液バランスを維持する。

③ 電解質の調整

  • Na⁺、K⁺、Cl⁻などの吸収
  • 浸透圧の維持

④ ビタミン・ミネラルの吸収

  • 脂溶性ビタミン(A・D・E・K)
  • 水溶性ビタミン(B群・C)

3. 吸収の仕組み(メカニズム)

① 小腸の構造(吸収効率の最大化)

  • 輪状ヒダ
  • 絨毛(じゅうもう)
  • 微絨毛(刷子縁)

→ 表面積を大幅に増やし、効率的な吸収を実現

② 吸収様式

  • 単純拡散:濃度勾配に従う
  • 促進拡散:輸送体を介する
  • 能動輸送:ATPを利用

③ 栄養素ごとの吸収経路

  • 糖・アミノ酸 → 毛細血管 → 肝臓(門脈)
  • 脂質 → リンパ管 → 全身循環

4. 部位別の吸収の特徴

① 十二指腸

  • 鉄・カルシウムの吸収

② 空腸

  • 主要な栄養素吸収の中心

③ 回腸

  • ビタミンB12・胆汁酸の吸収

④ 大腸

  • 水分・電解質の再吸収
  • 腸内細菌によるビタミン産生(Kなど)

5. 異常が起こると

① 吸収障害(マルアブソープション)

  • 体重減少
  • 栄養失調
  • 脂肪便

② 下痢

  • 水分吸収低下
  • 浸透圧性下痢

③ 貧血・欠乏症

  • 鉄欠乏性貧血
  • ビタミンB12欠乏

6. 東洋医学的な捉え方

① 脾の運化作用(吸収の本質)

  • 脾は水穀の精を吸収・運搬する
  • 吸収障害=脾虚と捉える

② 昇清作用

吸収した栄養(清気)を上へ持ち上げ、全身へ分配する働き。

③ 湿の停滞

  • 吸収異常 → 水湿の停滞
  • 症状:下痢・浮腫・重だるさ

7. 鍼灸臨床との関連

① 吸収障害への対応

  • 慢性下痢
  • 虚弱体質
  • 食後の疲労感

② 脾胃の強化

吸収機能の改善=気血生成の改善につながる。

③ 水分代謝の調整

  • 浮腫
  • 下痢

④ 代表的な経穴


8. まとめ(臨床ポイント)

  • 吸収は「栄養を体に取り込む最終ステップ」
  • 小腸(特に空腸)が中心
  • 脂質はリンパ、その他は血液へ
  • 異常=下痢・栄養障害として現れる
  • 東洋医学では「脾の運化」が核心

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