■ 概要
副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH:Corticotropin-Releasing Hormone)は、視床下部から分泌されるホルモンであり、下垂体前葉に作用してACTH(副腎皮質刺激ホルモン)の分泌を促進する。ストレス応答の中核を担うHPA軸(視床下部-下垂体-副腎系)の起点となる重要なホルモンである。
■ 分泌部位
- 視床下部(室傍核)
■ 標的器官
- 下垂体前葉
■ 主な作用
- ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)の分泌促進
- ストレス応答の開始(HPA軸の活性化)
■ 作用の流れ(HPA軸)
ストレス刺激を受けると、以下の経路で反応が進行する:
■ 分泌調節
① 促進因子
- ストレス(身体的・精神的)
- 低血糖
- 炎症(サイトカイン)
② 抑制因子(負のフィードバック)
- コルチゾール
■ フィードバック機構(重要)
副腎皮質から分泌されたコルチゾールは、視床下部および下垂体前葉に作用してCRHおよびACTHの分泌を抑制する(負のフィードバック)。これによりホルモン分泌の過剰を防ぎ、恒常性が維持される。
■ 生理学的ポイント
- ストレス応答のスタート地点となるホルモン
- HPA軸の中枢制御因子
- 日内リズム(概日リズム)の影響を受ける
■ 異常と病態
① 過剰
- 慢性ストレス状態
- コルチゾール過剰(クッシング症候群の一因)
② 低下
- 副腎皮質機能低下
- ストレス応答低下
■ 東洋医学的関連
CRHはストレスに対する初期応答を担うホルモンであり、東洋医学では「肝」の疏泄作用および「腎」の精気と深く関連すると考えられる。
ストレスによるCRHの過剰分泌は、「肝気鬱結」や「肝陽上亢」として表現されやすく、これが長期化すると「腎虚」に波及する(=ストレスによる消耗)。
■ 鍼灸臨床との関連
CRHはストレス反応の起点であるため、鍼灸治療における自律神経調整やストレス緩和は、この系に対して重要な意味を持つ。
- 肝の調整(太衝・期門など)
- 腎の補益(太谿・腎兪など)
- 自律神経調整(神門・内関など)
慢性的なストレス症状(不眠・倦怠感・食欲異常など)に対しては、HPA軸の過剰または破綻を意識した全身調整が重要となる。
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