■ 概要
チロキシン(T4:Thyroxine)は、甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンの一つであり、全身の基礎代謝を調節する重要なホルモンである。T4自体は比較的作用が弱く、主に末梢組織で活性の高いトリヨードサイロニン(T3)へ変換されて作用を発揮する。
■ 分泌部位
- 甲状腺(濾胞細胞)
■ 標的器官
- 全身のほぼすべての細胞
■ 主な作用
① 基礎代謝の亢進
- 酸素消費量の増加
- エネルギー産生の促進
- 体温上昇
② 糖・脂質・タンパク質代謝
- 糖新生・グリコーゲン分解促進
- 脂肪分解促進
- タンパク質代謝促進(適量では合成促進)
③ 成長・発達への作用
- 中枢神経系の発達に必須(特に胎児期・小児期)
- 骨の成長促進
④ 交感神経作用の増強
- カテコールアミン感受性の増加
- 心拍数増加・血圧上昇
■ 分泌調節(HPT軸)
■ フィードバック機構(重要)
T4およびT3は、視床下部および下垂体前葉に作用し、TRHおよびTSHの分泌を抑制する(負のフィードバック)。これにより代謝の過剰な亢進が防がれる。
■ 生理学的ポイント
■ 異常と病態
① 分泌亢進(甲状腺機能亢進)
- 体重減少
- 発汗過多・熱感
- 動悸・頻脈
- 神経過敏
② 分泌低下(甲状腺機能低下)
- 体重増加
- 寒がり
- 倦怠感
- 浮腫(粘液水腫)
■ 東洋医学的関連
チロキシンは代謝全体を調節するため、東洋医学では「脾」の運化作用および「腎」の陽気と密接に関連すると考えられる。
代謝低下は「脾陽虚」「腎陽虚」、代謝亢進は「陰虚火旺」や「肝陽上亢」として表現されることが多い。
■ 鍼灸臨床との関連
甲状腺機能異常に対しては、自律神経および内分泌のバランス調整が重要であり、全身の気血調整が基本となる。
- 脾胃の調整(足三里・中脘など)
- 腎の補益(太谿・腎兪など)
- 自律神経調整(内関・神門など)
冷え・倦怠感・代謝異常などの症状に対しては、「代謝低下・亢進のバランス」を意識した施術が重要となる。
0 件のコメント:
コメントを投稿