■ 概要
甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH:Thyrotropin-Releasing Hormone)は、視床下部から分泌されるホルモンであり、下垂体前葉に作用してTSH(甲状腺刺激ホルモン)の分泌を促進する。これにより甲状腺ホルモン(T3・T4)の分泌を調節し、全身の代謝をコントロールする重要な役割を担う。
■ 分泌部位
- 視床下部(室傍核)
■ 標的器官
- 下垂体前葉
■ 主な作用
- TSH(甲状腺刺激ホルモン)の分泌促進
- (副次的に)プロラクチン分泌の促進
■ 作用の流れ(視床下部-下垂体-甲状腺系)
代謝調節に関わるホルモンは、以下の経路で制御される:
■ 分泌調節
① 促進因子
- 寒冷刺激(代謝亢進の必要性)
- 甲状腺ホルモン低下
② 抑制因子(負のフィードバック)
- 甲状腺ホルモン(T3・T4)
- ストレス(重度の場合)
■ フィードバック機構(重要)
甲状腺から分泌されたT3・T4は、視床下部および下垂体前葉に作用してTRHおよびTSHの分泌を抑制する(負のフィードバック)。これにより代謝の過剰亢進を防ぎ、恒常性が維持される。
■ 生理学的ポイント
- 全身の基礎代謝を調節する上流ホルモン
- 寒冷環境で活性化されやすい
- プロラクチン分泌にも影響する点が重要
■ 異常と病態
① 分泌亢進
- TSH増加 → 甲状腺機能亢進傾向
② 分泌低下
- TSH低下 → 甲状腺機能低下傾向
③ 関連ポイント
- TRH増加 → プロラクチン上昇 → 乳汁分泌異常(高プロラクチン血症)
■ 東洋医学的関連
TRHは代謝調節の上流に位置するホルモンであり、東洋医学では「脾」の運化作用および「腎」の陽気と関連づけて考えられる。
代謝低下(寒がり・倦怠感など)は「脾陽虚」「腎陽虚」と対応し、逆に代謝亢進は「陰虚火旺」や「肝陽上亢」として表現されることがある。
■ 鍼灸臨床との関連
甲状腺機能の異常に対しては、自律神経および内分泌のバランス調整が重要であり、TRHを起点とした内分泌調整系へのアプローチが意識される。
- 脾胃の調整(中脘・足三里など)
- 腎の補益(太谿・腎兪など)
- 自律神経調整(内関・神門など)
冷え・倦怠感・代謝異常などの症状に対しては、全身の気血バランスを整える治療が有効とされる。
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