私たちの体内では、血糖値(血液中のブドウ糖濃度)は常に一定に保たれています。
しかし実際には、食事・活動・睡眠によって大きく変動しています。
その裏で絶えず働いているのが、「インスリン」と「グルカゴン」です。
■ 朝:空腹からのスタート(血糖値は低め)
朝起きたとき、体は軽い「飢餓状態」にあります。
夜間は食事を摂らないため、血糖値はやや低下しています。
ここで主役になるのが「グルカゴン」
- 肝臓に働きかける
- グリコーゲンを分解(グリコーゲン分解)
- 血糖を上昇させる
さらに、糖新生(アミノ酸などから糖を作る)も促進され、脳や赤血球に必要なエネルギー供給が維持されます。
👉 空腹時=グルカゴン優位
■ 朝食後:血糖値の急上昇
朝食を摂ると、腸からブドウ糖が吸収され、血糖値が急上昇します。
ここで登場するのが「インスリン」
- 筋肉・脂肪細胞に糖を取り込ませる
- 肝臓でグリコーゲン合成を促進
- 血糖値を下げる
インスリンは「血糖を下げる唯一のホルモン」です。
この働きによって、急激な高血糖は速やかに抑えられます。
👉 食後=インスリン優位
■ 昼〜夕方:安定と揺らぎ
日中は食事・活動・ストレスなどによって血糖は細かく変動します。
- 食後 → インスリン優位
- 間食なしの時間 → グルカゴン優位
この2つのホルモンは、シーソーのようにバランスを取りながら、血糖値を「約70〜110 mg/dL」に維持しています。
また、ストレス時にはコルチゾールやアドレナリンも関与し、血糖値を上昇させる方向に働きます。
■ 夜:再び空腹状態へ
夕食後しばらくはインスリンが優位ですが、就寝に向かうにつれて再びグルカゴン優位へ移行します。
睡眠中も血糖維持は続いており、肝臓が静かに糖を供給し続けています。
■ 攻防戦の本質
インスリンとグルカゴンの関係は、単なる「上下関係」ではありません。
- インスリン → エネルギーを「貯める」
- グルカゴン → エネルギーを「取り出す」
つまりこれは、「貯蔵」と「動員」のバランス
生命維持に不可欠なダイナミックな調整機構です。
■ 病理とのつながり
- 糖尿病:インスリン作用不足 → 高血糖
- 低血糖:インスリン過剰または調節異常
このバランスが崩れると、全身の代謝に深刻な影響が及びます。
■ 東洋医学的にみると
血糖調節は、東洋医学では以下の概念と対応づけて考えることができます。
- 脾:消化吸収・運化(インスリン的側面)
- 肝:エネルギーの調整・放出(グルカゴン的側面)
- 腎:基礎的エネルギー維持(夜間の糖供給)
👉 脾虚 → 食後高血糖・エネルギー利用低下
👉 肝気鬱結 → 血糖変動の不安定化
■ まとめ
血糖値は1日の中で常に揺れ動いています。
その裏では、
- インスリン(下げる)
- グルカゴン(上げる)
という2つのホルモンが、絶妙なバランスを取り続けています。
この「攻防戦」を理解することで、糖尿病だけでなく、疲労・ストレス・自律神経の理解にもつながります。
「血糖は、体のエネルギー戦略そのものである」
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