生理学 2-2 シナプス伝達

■ 概要

シナプスとは、ニューロン同士、またはニューロンと効果器(筋・腺)との接合部である。 神経情報はここで次の細胞へと受け渡される。

シナプス伝達は電気的現象(活動電位)を化学的信号へ変換し、 再び電気的反応へと変換する過程である。


■ シナプスの種類

  • 化学シナプス
  • 電気シナプス
種類 特徴
化学シナプス 神経伝達物質を介する、遅いが調節性が高い
電気シナプス ギャップ結合による直接伝導、速い

人体の神経系では主に化学シナプスが用いられる。


■ 化学シナプスの伝達過程

  1. 活動電位が軸索終末に到達
  2. 電位依存性Ca²⁺チャネル開口
  3. 神経伝達物質がエキソサイトーシスで放出
  4. 受容体に結合
  5. シナプス後電位発生

伝達物質は再取り込みまたは分解により速やかに除去される。


■ 興奮性と抑制性

  • 興奮性シナプス後電位(EPSP)
  • 抑制性シナプス後電位(IPSP)

複数の入力は時間的・空間的加重によって統合され、 閾値を超えると活動電位が発生する。


■ 主な神経伝達物質

物質 主な作用
アセチルコリン 神経筋接合部、自律神経
ノルアドレナリン 交感神経
グルタミン酸 中枢興奮性
GABA 中枢抑制性
ドーパミン 運動調節、報酬系

■ 可塑性

シナプス強度は変化しうる。

  • 長期増強(LTP)
  • 長期抑圧(LTD)

これは学習・記憶の基盤であり、 慢性疼痛の持続にも関与する。


■ 異常と病態

  • 重症筋無力症
  • パーキンソン病
  • てんかん

神経伝達物質や受容体の異常は、神経疾患の原因となる。


■ 東洋医学的視点

東洋医学ではシナプスという概念はないが、 刺激の伝達と反応の統合は「気機」の働きとして表現される。

興奮と抑制のバランスは、陰陽の均衡という概念と対応づけることができる。

過剰な興奮は「実」、抑制低下は「虚」と解釈されることがある。


■ 鍼灸との関連

鍼刺激は求心性神経を介して脊髄後角へ入力され、 シナプスレベルで伝達が調節される。

  • ゲートコントロール理論
  • 内因性オピオイド放出
  • 下降性抑制系の活性化

これらはシナプス伝達の修飾作用として説明できる。

慢性疼痛ではシナプス可塑性が関与するため、 鍼刺激はその再調整に寄与する可能性がある。


■ まとめ

シナプスは神経情報の受け渡し部位である。 化学シナプスでは神経伝達物質が受容体に作用し、 興奮性または抑制性の反応を引き起こす。

シナプス可塑性は学習や慢性疼痛に関与する。

鍼灸はシナプス伝達を調節することで、 鎮痛や自律神経調整作用を発揮すると考えられる。

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