■ 概要
シナプスとは、ニューロン同士、またはニューロンと効果器(筋・腺)との接合部である。 神経情報はここで次の細胞へと受け渡される。
シナプス伝達は電気的現象(活動電位)を化学的信号へ変換し、 再び電気的反応へと変換する過程である。
■ シナプスの種類
- 化学シナプス
- 電気シナプス
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 化学シナプス | 神経伝達物質を介する、遅いが調節性が高い |
| 電気シナプス | ギャップ結合による直接伝導、速い |
人体の神経系では主に化学シナプスが用いられる。
■ 化学シナプスの伝達過程
- 活動電位が軸索終末に到達
- 電位依存性Ca²⁺チャネル開口
- 神経伝達物質がエキソサイトーシスで放出
- 受容体に結合
- シナプス後電位発生
伝達物質は再取り込みまたは分解により速やかに除去される。
■ 興奮性と抑制性
- 興奮性シナプス後電位(EPSP)
- 抑制性シナプス後電位(IPSP)
複数の入力は時間的・空間的加重によって統合され、 閾値を超えると活動電位が発生する。
■ 主な神経伝達物質
| 物質 | 主な作用 |
|---|---|
| アセチルコリン | 神経筋接合部、自律神経 |
| ノルアドレナリン | 交感神経 |
| グルタミン酸 | 中枢興奮性 |
| GABA | 中枢抑制性 |
| ドーパミン | 運動調節、報酬系 |
■ 可塑性
シナプス強度は変化しうる。
- 長期増強(LTP)
- 長期抑圧(LTD)
これは学習・記憶の基盤であり、 慢性疼痛の持続にも関与する。
■ 異常と病態
- 重症筋無力症
- パーキンソン病
- てんかん
神経伝達物質や受容体の異常は、神経疾患の原因となる。
■ 東洋医学的視点
東洋医学ではシナプスという概念はないが、 刺激の伝達と反応の統合は「気機」の働きとして表現される。
興奮と抑制のバランスは、陰陽の均衡という概念と対応づけることができる。
過剰な興奮は「実」、抑制低下は「虚」と解釈されることがある。
■ 鍼灸との関連
鍼刺激は求心性神経を介して脊髄後角へ入力され、 シナプスレベルで伝達が調節される。
- ゲートコントロール理論
- 内因性オピオイド放出
- 下降性抑制系の活性化
これらはシナプス伝達の修飾作用として説明できる。
慢性疼痛ではシナプス可塑性が関与するため、 鍼刺激はその再調整に寄与する可能性がある。
■ まとめ
シナプスは神経情報の受け渡し部位である。 化学シナプスでは神経伝達物質が受容体に作用し、 興奮性または抑制性の反応を引き起こす。
シナプス可塑性は学習や慢性疼痛に関与する。
鍼灸はシナプス伝達を調節することで、 鎮痛や自律神経調整作用を発揮すると考えられる。
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