生理学 2-6 自律神経系

■ 定義

自律神経系とは、意識とは無関係に内臓機能・血管・腺分泌などを調節し、 体内環境(恒常性)を維持する神経系である。

主に交感神経系副交感神経系から構成される。


■ 解剖学的構成

① 中枢

  • 視床下部(統合中枢)
  • 脳幹(延髄・橋・中脳)
  • 脊髄側角

② 末梢経路

  • 節前線維(中枢 → 神経節)
  • 神経節
  • 節後線維(神経節 → 効果器)

■ 交感神経と副交感神経

項目 交感神経 副交感神経
起始 胸腰髄(T1〜L2) 脳幹・仙髄(S2〜S4)
機能 闘争・逃走反応 休息・消化促進
心拍 増加 減少
瞳孔 散大 縮小
消化管 抑制 促進

■ 神経伝達物質

  • 節前線維:アセチルコリン(ACh)
  • 交感神経節後線維:主にノルアドレナリン
  • 副交感神経節後線維:アセチルコリン

■ 作用の特徴

  • 二重支配(拮抗的調整)
  • 恒常性維持(homeostasis)
  • 内分泌系との密接な連携

■ 自律反射

  • 圧受容体反射(血圧調整)
  • 瞳孔対光反射
  • 排尿反射
  • 発汗反射

■ 臨床的関連

  • 起立性低血圧
  • 自律神経失調症
  • 発汗異常
  • 過敏性腸症候群
  • 不整脈

■ 東洋医学的関連

自律神経のバランスは、東洋医学では陰陽の調和および 気機の昇降出入として理解される。

① 陰陽との対応

  • 交感神経優位 → 陽亢・肝陽上亢・心火亢盛
  • 副交感神経優位 → 陰盛・寒証傾向

② 五臓との関連

  • 心:神志活動・循環調整
  • 肝:気機調整・緊張反応
  • 脾:消化吸収機能
  • 腎:生命活動の基盤・ストレス耐性

③ 気機失調

  • 気滞 → 胸脇苦満・動悸・過呼吸
  • 気虚 → 倦怠・低血圧傾向
  • 瘀血 → 末梢循環障害

④ ストレスとの関係

慢性ストレスは交感神経持続亢進状態を生み、 「肝気鬱結」「心脾両虚」などの病態像と対応する。


■ 鍼灸との関連

① 交感・副交感バランス調整

  • 心拍変動(HRV)改善報告
  • 交感神経過緊張の抑制
  • 迷走神経活動促進の可能性

② 視床下部への影響

  • 内分泌系との統合調整
  • ストレスホルモン(コルチゾール)調整

③ 局所循環改善

  • 血管拡張反応
  • 皮膚温上昇
  • 内臓血流変化

④ 臨床応用

  • 自律神経失調症
  • 不眠症
  • 更年期障害
  • 機能性胃腸障害
  • 慢性疼痛とストレス関連症状

■ まとめ

  • 自律神経系は恒常性維持の中枢機構である
  • 交感・副交感の拮抗的調整で機能する
  • 視床下部が統合中枢である
  • 東洋医学では陰陽・気機の失調として理解される
  • 鍼灸は自律神経バランス調整に臨床的意義を持つ

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