生理学 6-1 血液の構成

血液は、体内を循環しながら酸素・栄養素の運搬、老廃物の回収、免疫、防御、体温調節、恒常性維持を担う液体組織である。 成人では体重の約7~8%(約4.5~5.5L)を占める。


■ 血液の基本構成

血液は大きく以下の2つに分けられる。

  • 血漿(plasma):約55%
  • 有形成分(formed elements):約45%

■ 1)血漿

● 主成分

  • 水:約90~92%
  • 血漿タンパク:約7%
  • 電解質、栄養素、ホルモン、老廃物など

● 血漿タンパク

種類 主な作用
アルブミン 膠質浸透圧の維持、物質運搬
グロブリン 免疫(抗体)、輸送タンパク
フィブリノゲン 血液凝固

アルブミンによる膠質浸透圧は、毛細血管での水分移動を調整し、浮腫形成に深く関与する。


■ 2)有形成分

① 赤血球(erythrocyte)

  • 数:男性約500万/μL、女性約450万/μL
  • 寿命:約120日
  • ヘモグロビンを含み、酸素運搬を担う

赤血球は核を持たず、両凹円盤状構造により表面積を拡大している。

② 白血球(leukocyte)

免疫機能を担う細胞群。

分類 主な役割
好中球 細菌貪食(急性炎症)
好酸球 アレルギー・寄生虫
好塩基球 ヒスタミン放出
リンパ球 特異的免疫(T細胞・B細胞)
単球 マクロファージへ分化

③ 血小板(platelet)

  • 数:約15~35万/μL
  • 止血・血栓形成
  • 血管損傷部位への粘着・凝集

■ 血液の主な機能

① 運搬機能

  • 酸素(赤血球)
  • 二酸化炭素
  • 栄養素
  • ホルモン

② 防御機能

  • 白血球による免疫
  • 抗体産生
  • 炎症反応

③ 恒常性維持

  • 体温調節
  • pH緩衝(重炭酸系)
  • 浸透圧維持

■ 臨床的ポイント

  • 貧血:ヘモグロビン低下 → 組織低酸素
  • 多血症:血液粘稠度上昇
  • 白血球増多:炎症・感染
  • 血小板減少:出血傾向
  • 低アルブミン血症:浮腫形成

■ 東洋医学的関連

● 「血(けつ)」の概念

東洋医学における「血」は、単なる血液成分ではなく、

  • 栄養作用(濡養)
  • 精神活動の基盤(神を蔵す)
  • 月経との関係
を含む機能的概念である。

● 臓腑との関係

① 肝は血を蔵す

  • 血量の調節
  • 筋・目への栄養供給
  • 情緒安定

現代医学的には、循環調節・自律神経・血流配分との関連が示唆される。

② 心は血脈を主る

  • 血の循環を統括
  • 精神活動(神志)と関連
心血虚では、不眠・動悸・不安が生じる。

③ 脾は統血を主る

  • 血が脈外に漏れないよう保持
  • 消化吸収との関係
慢性出血や皮下出血傾向は脾虚と関連づけられる。

● 気血関係

  • 「気は血の帥」:循環推進
  • 「血は気の母」:栄養基盤
循環障害・冷え・うっ血は気滞血瘀として理解される。

■ 鍼灸との関連

 1)血流改善作用

  • 局所血管拡張
  • 微小循環改善
  • 一酸化窒素(NO)産生促進
鍼刺激により血流量増加が確認されている。

2)免疫調整作用

  • 白血球機能の活性化
  • NK細胞活性上昇
  • 炎症性サイトカイン調整
慢性炎症疾患やアレルギー体質改善に応用される。

3)自律神経調整と循環

  • 交感神経抑制
  • 副交感神経亢進
  • 血管トーン調整
結果として心拍・血圧・末梢循環が安定する。

4)貧血・血虚への応用

血虚証では以下を重視する:

造血機能や消化吸収機能の改善を図る。

5)瘀血への対応

  • 血行促進
  • 冷え改善
  • 疼痛軽減
駆瘀血作用を目的に、 などを使用する。

■ まとめ

血液は単なる循環媒体ではなく、酸素運搬・免疫・止血・恒常性維持という多機能系である。

東洋医学では「血」は精神活動・臓腑機能と密接に結びつく概念であり、 鍼灸は循環改善・免疫調整・自律神経調整を通じて血の機能に多面的に介入できる。

血液の理解は、循環・呼吸・免疫・内分泌すべてを横断する基盤知識である。

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